アフリカ最北端の国はどのように再生可能エネルギー部門を発展させる準備をしているのでしょうか。そしてその開発において風力エネルギーはどんな役割を果たすことができるのでしょうか。

チュニジアは、MENAT(中東、北アフリカ、トルコ)地域の多くの国々と同様に今後数年にわたってエネルギーミックスの再構築を目指していることから、再生可能エネルギー部門への海外からの直接投資を増やすことに検討しています。

その既存のエネルギー供給の中でわずか3%だけが再生可能エネルギーに由来している状況で[1]、すべてのエネルギー依存国にとってなじみのある圧力に直面して、チュニジアの当局は、国の歴史上初めて、民間部門がその急成長する風力エネルギー部門に貢献できるようにしました。

2019年1月に、合計120MW(メガワット)の4件のプロジェクトが外資系企業に認可され[2]、さらに多くがそれに続くものと期待されています。チュニジアのヨセフ・チャヘド首相は次のように述べています。「政府は(再生可能エネルギー)セクターの法的および組織的側面を発展させるためにかなりの努力をしてきました[3]。」

ガスがチュニジアの現在のエネルギーミックスの大部分を担っています[4]。1992年から2012年の間にエネルギー消費量が2倍になったため、2015年には、エネルギー不足が4Mtepに達しました[5]。ただし、北アフリカの国々は2030年までに、電力供給全体のうち再生可能エネルギーによる供給を40%にするよう目指しています[6]

おそらく、従来の炭化水素埋蔵量が有限であるため、、今後10年間にわたって増大するエネルギー需要を賄えなくなることを意識して、チュニジアは2022年までに1,900MWの再生可能容量に資金提供するために20億米ドルの投資を呼び込むことを望んでおり[7]、さらに2030年までに、1,700MWの風力エネルギー容量、並びにさらに1,500MWの太陽光発電容量を備えるよう目指しています[8]

そのアプローチに変化の兆候が見えてきたのは、2010年から2016年にかけて実施された、40のプロジェクトとパートナーシップを通じた再生可能エネルギー生産の促進[9]を掲げた官民パートナーシップのチュニジアのソーラープランでした。今日、その勢いはさらに高まってきており、国家計画の入念な観察者にとっては明るいニュースです。「エネルギー転換に対するチュニジアのコミットメントは、国家経済に良い影響を与えるでしょう[10]と、 元チュニジアエネルギー鉱山国務長官とともに、経済学者やIPEMEDのプロジェクトマネージャーたちは述べます。

実際、チュニジアは世界銀行によって「再生可能エネルギーの規制枠組みにおける最も速い改善国トップ3」として、エジプトとアラブ首長国連邦と並んでその進捗を称賛されています。RISE Policy Mattersは、「2017年末までに、これら3か国すべてが、民間セクターによる再生可能エネルギーの所有を許可する法律を制定し、再生可能エネルギーの法的枠組みを確立した。」[11]と報告しました。

2018年、チュニジアは130MWの風力案件の入札を実行しました。この開発案件は2021年までに設置される予定で、再生可能エネルギーへの支援を繰り返し強調しているMENA各国政府の広範囲に渡る活動の一部です[12]。この地域では、今後5年間に毎年1GW(ギガワット)以上の再生可能エネルギーを導入、そして2023年までには6GWを超える新容量をエネルギーミックスに組み込む予定です[13]

再生可能エネルギー分野での地位をさらに強化し、その可能性を発展させ続けるために、チュニジアは国の役割を再定義し、エネルギーガバナンスとその規制枠組みを改善、税制を簡素化し、専門職業教育の機会を改善するように勤めています[14]

グローバル風力エネルギー評議会の議長であるモーテン・ディロルム氏は次のように述べています。「風力エネルギーは現在、多くの市場で最も安価な形態の電力のひとつです。(2018年の)風力発電設備の設置は、多くの成熟した新興市場では初めて、化石燃料の新規生産量を上回りました。これらは今主流のエネルギー資源のための強力な基礎となります[15]

ディロルム氏の分析は、世界の風力エネルギー市場が2023年までに毎年2.7%成長し、世界中で300GWを超える容量が追加されることを示唆する研究に基づいています[16]。グローバル風力エネルギー評議会のGlobal Wind Report 2018は次のように述べています。「多くの市場がエネルギー需要とマーケットデザインを再評価しています。柔軟で容易に拡張可能な容量を持つ風力エネルギーは、再評価のためのソリューションの一部になるでしょう。」

Abdul Latif Jameel Energyは、その子会社であるFotowatio Renewable Ventures(FRV)を通じて、世界中で地域社会にとってより清潔で健康的な未来を確実にもたらすためにその役割を果たすように努めています。世界中で風力発電と太陽光発電の両方のプロジェクトを提供することによって、再生可能エネルギーの知識とそのノウハウにおいて最先端にいることを誇りにし、新世代が時代の課題に適合した新しい活力が与えられたエネルギーミックスの恩恵を享受することができるようにします。

[1] Solar Energy Prospects in Tunisia, EcoMENA, 7 April 2017

[2] How Tunisia’s energy sector is changing, Oxford Business Group, 29 March 2019

[3] Tunis Allows Private Sector to Invest in Renewable Energy, Asharq Al-Awsat, 12 January 2019

[4] Energy strategies and policies in North Africa: Tunisia, The pursuit of energy independence, Bearing Point, accessed April 2019

[5] Energy strategies and policies in North Africa: Tunisia, The pursuit of energy independence, Bearing Point, accessed April 2019

[6] Renewable Energy Country Profile: Tunisia, Regional Centre for Renewable Energy and Energy Efficiency, accessed April 2019

[7] How Tunisia’s energy sector is changing, Oxford Business Group, 29 March 2019

[8] Renewable Energy Country Profile: Tunisia, Regional Centre for Renewable Energy and Energy Efficiency, accessed April 2019

[9] Tunisian Solar Plan (PST) 2010-2016, International Energy Agency, accessed April 2019

[10] Energy challenges facing Tunisia, Economiste Maghrebin, July 2017

[11] RISE Policy Matters: Regulatory Indicators for Sustainable Energy, The World Bank, 9 December 2018

[12] Global Wind Report 2018, Global Wind Energy Council, April 2019

[13] Global Wind Report 2018, Global Wind Energy Council, April 2019

[14] Energy challenges facing Tunisia, Economiste Maghrebin, July 2017

[15] Global Wind Report 2018, Global Wind Energy Council, April 2019

[16] Global Wind Report 2018, Global Wind Energy Council, April 2019