20185月にマサチューセッツ工科大学(MIT)のAbdul Latif Jameel World Education LabJ-WEL)が1周年を迎え、Opening Doorsは、オープンラーニングのMIT副学長であるSanjay Sarma教授に、開講以来のこの12ヶ月と将来の目標について話を伺いました。

-WELの初年度をどのように評価していますか?

我々にはいくつか目標がありました。そのうちの1つは事業のための重要なスポンサーを得ることで、これは達成されました。世界の教育に大きな影響を及ぼす取り組みなので、ある程度の知名度を得ることも期待していました。この点においても、よい結果を残せました。こうしたことすべては、私たちの誇りです。ただ、おそらく最も重要なのは、私たちがしてきたことの知的内容がワクワクするものだったということでしょう。将来の仕事の在り方といった、多くの重要な問題に焦点を絞るという意味では先端的なものですが、科学に基づいてこれらの問題を根本から考えるという点では基本的なことです。

J-WELが世界の教育界から得た反応には満足していますか?

はい、世界中からの関心が得られました。私たちが取り組む問題は極めて適切だと言っていただいています。たとえば「世界の将来」を例に挙げると、米国のような成熟した市場の問題だと捉えられるかもしれませんが、世界の他の地域にも同様に関わりがあることが分かります。

世界中の教育が直面している主な課題を挙げていただけますか?

主に2つのテーマがあります。一つは学習科学から得られた知見に基づいています。もう一つは、人口動態、技術、進歩から学んでいることです。この両方が、教育はあらゆる面で変化しなければならないと告げています。今よりももっと一体化しなければならないのです。非常に多くの作業が必要なだけでなく、さらに多くの流動性を提供する必要があります。これはつまり、教育に関わるすべての組織が大きなチャレンジに直面していることを意味します。

この最初の12ヶ月について誇りに思うものは何かありますか?

はい。私は、J-WELに関わる人々や国の多様性に驚いています。資金豊富なアメリカの団体から世界の貧困地域で活動する財団まで関わっているのです。私たちが携わる仕事は、世界中のあらゆる場所に広がる可能性があります。

J-WELが今後510年で目標とすることは何ですか?

私たちは今までの成果をさらに積み上げ、直面する問題にもっと深く取り組む必要があります。世代別に人々が教育で直面している機会や課題の深さは、研究基盤が大きくなるにつれてより明確になります。知識を新たな理解と洞察に変え、それを普及させる新しい方法を見つけるというのが、私たちの次の刺激的なステップでしょう。

J-WELの仕事をさらに発展させるための計画はありますか?

私たちが目指している取り組みの1つは、ポッドキャストの開発です。これによりJ-WELのメンバーは移動中も資料にアクセスできます。進行中の事柄について、最新の状態を簡単かつ便利に把握できるようになります。私が深く信じている事の一つは、「セレンディピティの実践」です。つまり、世界中のベストプラクティスを知ることで、私たちの心の中で結びつきが生まれあらゆる種類のアイデアが生まれるような豊潤な環境が作り出されます。そのため私たちは情報や学習のネットワークを作りたいと思います。それに没頭し、消化した人々が新しいアイデアを生みだすことを願っています。

Community Jameelのサポートは、こういった目標を達成するためにどの程度重要ですか?

Community Jameelは私たちを前進させるだけでなく、最も温かく親密に支えてくれる存在です。ちょうど今朝、私たちにとって興味深いアジアとの関わりについてのメッセージを受け取りました。素晴らしいのは、単に「やあ、Xに会いなよ」というだけではないのです。もっと深く考えられています。「あるプロジェクトがある。そして分析もある。これはあなたのプロジェクトに適したものかな?」 Community Jameelは単なる助力というより、高度な情報提供と高度な選別の結果として、とても関連性が高い助力になっているのです。

MITに拠点を置く他のAbdul Latif Jameelのラボとの共同作業の機会はありますか?

MITの様々なJameel研究所とは、あらゆる種類の相乗効果があります。Abdul Latif Jameel貧困アクション・ラボ(J-PAL)は研究と奉仕活動であり、Abdul Latif Jameel Water and Food Security(J-WAFS)は研究への取り組みであり、J-WELは教育への取り組みです。教育は他の2つとごく自然に適合します。私たちの間には、豊かなネットワークの可能性に導く自然なつながりがあります。とてもエキサイティングなことです。実際、J-WELメンバーのためのウェブセミナーを来週開催し、最近のJ-PALの政策概要「Roll Call:子どもを学校に迎え入れる」について議論を行います。