Almar Water Solutionsは、ケニア初の大規模海水淡水化プラントの開発を請け負っています。Opening Doorsは、同国において迫り来る水危機の支援、ならびに将来に向けた野心的な計画について、Almar Water Solutionsの最高経営責任者(CEO)であるCarlos Cosín氏にお話をうかがいました。

ケニアほど深刻な水と衛生面の問題に直面している国はほとんどありません。その問題は単なる水不足を超え、都市化と悪質な衛生環境が結びついて困難の度合いを増しています。実際、ケニア人の41%は依然として池や浅い井戸、河川など未改良の水源に依存しており、ケニアの55の水道事業者のうち継続して水供給を行っているのは9つだけです[1]

アフリカで活動する水に関する慈善団体、The Water Projectはいいます、「ケニアの天然水資源は国内の様々な地域へ公平に供給されず、同国の水域は国内各地へ公平に届いてはいません[2]

多くのケニア人が水と衛生上の問題に直面している主な原因は急速な都市化のためであると言われています。もう一つの主要な水の慈善団体であるWater and Sanitation for the Urban Poor(WSUP)によれば、都市人口の急速な増加により非公式な定住者は過密状態で、住民が水と衛生サービスをほとんど利用できない状態につながっています[3]

たとえば、ナイロビの住民は長年水の制限に直面していますが、2018年初頭の乾期ではナイロビ、モンバサ、カカメガ、ケリチョ、ミリオリなどのケニアのいくつかの都市で急激な水不足が起こりました[4]。当時、急激な水不足に苦しんでいたモンバサの住民は、20リットルの水を平均0.30米ドルで購入したと報告されました[5]

1,900万人のケニア人が安全な水を利用できず[6]、多くの女性と子供たちが炎天下の中一番近くの新鮮な水源から水を汲んでくることに1日の3分の1近くを費やしています[7]。これほど有効な解決策が必要とされたことはありません。

Abdul Latif Jameel World Water and Food Security Labのような団体(J-WAFS)マサチューセッツ工科大学(MIT)はこの課題克服のために懸命に働いています。

J-WAFSはすでに一連の重要なステップに着手しており、世界中の水不足や公害問題に大きな影響を与えうるプロジェクトへの資金提供を続けています。たとえば、木の辺材を使って低コストの水フィルターを開発する研究者に2年間の資金援助を行いました。これは世界の最低所得層に安全で安価な飲料水を提供できるようになる可能性があります。また、海水淡水化の大規模化とコストの問題に取り組む調査への資金提供も行いました。

J-WAFSで行われている種類の最先端の研究は長期的なソリューションに不可欠な部分です。しかし短期的には、世界の途上国の何十億人もの人々にとって、水不足は日々直面する問題として存在し続けています。

「水は人の命にとって重要な要素です」とAbdul Latif Jameel Energy傘下のAlmar Water Solutions CEOのCarlos Cosín氏は述べています。「水なくして持続性はありません。信頼できる飲料水源を利用できない人が何十億人もいます。多くの場合、先進国の視点から持続可能性を検討しているため、水が大きな問題と認識されることはあまりありません。しかし発展途上国の立場から見ると、水は電力よりもはるかに重要です。

成功への第一歩

世界の発展に水が与える決定的な役割に気づいたため、Abdul Latif Jameel Energyは18カ月前にAlmar Water Solutionsを作りました。少し前にケニアの最初の大規模な海水淡水化プラントの開発契約を結び、その後配当金の支払いが決定されました。

この開発で1日で10万㎥の水が生産され、ケニア第2の都市であるモンバサに水が供給されます。

モンバサの都市人口は100万人強であり、そのうち約4分の1は非公式の集落に住んでいます[8]。さらに低所得層の約66%が安全で安価な水を利用できない状態です[9]

Carlos氏は次のように述べています。「地域に使える水があるかどうかということだけでなく、その水がほぼ飲料水ではないということも問題です。人々はそれを使うことができますか?

 「状況はさらに複雑です。なぜならアフリカでは多くの人が水不足が原因で移住するからです。水がなければ人々は水が使える場所に移動する傾向があります。引っ越すのです。もし水が使えれば、ある場所から別の場所に人が移動することは少なくなります。」

彼はさらに付け加えます。「モンバサのこのプロジェクトは非常に重要なステップです。モンバサは海水淡水化を行っていない都市港です。今日では、近隣の郡から水を購入しています。これらの郡にモンバサに送るだけの十分な水が余っているかどうかにかかっているのです。 

「水の停止や供給のない期間があり、明らかに人口に大きな影響がありました。Almar Water Solutionsが建設したこの新プラントは、モンバサの水需要に対応するだけでなく第三者への水への依存度も低減します。」

また、Almar Water Solutionsにとっても極めて重要なプロジェクトであるとCosin氏は述べています。彼は述べます。Almar Water Solutionsは、水分野で最高のチームの1つです。私たちにとって初めてとなる大きな公共プロジェクトを獲得することは重要なマイルストーンです。」

Almar Water Solutionsは、水ソリューション、および姉妹企業FRVの太陽光や風力などの再生可能エネルギーの両方に関するスキルと知識を組み合わせることで、明確で独特な提案を出せる恵まれた状況にあります。「風力、太陽光、水を包括した企業結合によりサービスを提供する必要があるのですが、両方の業界に専門知識を持つ企業はごくわずかです」と彼は言います。

戦略目標、野心

Almar Water Solutionsは、その野心を達成するため世界中の主要なマーケットを注視しています。ケニアでのプロジェクトに加え、南アフリカ、チリ、ペルー、キプロスでも活動しているのです。エジプトではナイル川の供給水を補完するために海水淡水化の普及が増えているのでエジプトマーケットへの進出は最も効果的です。また、Abdul Latif Jameel Energyの本拠地であり、かつ中東最大の海水淡水化マーケットでもあるサウジアラビアには引き続き注力していきます。

しかし、Carlos氏は次のように主張しています。「海水淡水化だけに目を向けているわけではありません」彼はさらに付け加えます。「世界水準の話をすると、廃水処理のプロセスは通常、海水淡水化よりも安価であり農業や工業のコストを引き下げます。

Almar Water Solutionsはさまざまな分野を横断して専門性と能力を組み合わせた革新的なソリューションを開発することもできます。」

 「将来は太陽光海水淡水化にあると信じています。私たちのチームはこれをさらに進歩させるために協力しています。最終的には、引き続き蓄電設備の価格が下落する中、再生可能エネルギーによる24時間の電力供給が可能になります。」

ただ、今はもっと緊急の懸念があります。「モンバサ・プロジェクトの資金調達の仕組が必要ですが、現在とてもうまくいっています。私たちは良い議論を重ねて真の進歩を遂げています。すでに用地の査定を開始しており、2019年前半に建設を開始する予定です。

 人々はモンバサ・プロジェクトの実施状況と、プラントがうまく展開していくかにとても注目しています。モンバサは水道網の整備も積極的に進めているので、継続的な問題もいくつか緩和されるでしょう。欠陥のあるパイプラインで大量の水が失われれば、それ自体が問題です。

 これはモンバサに住む全ての人の生活をよくする大きなインフラの発展であり、モンバサ政府のビジョンと人々に対する懸念の証です。彼らが言うように、これは水のコストではなく、水がないコストの問題なのです」

モンバサの100万以上の人々に安全な飲料水を提供することから、世界で最も革新的なエネルギー企業の1つを前進させることにいたるまで、Carlos Cosín氏は多くのことを考えています。しかし、Almar Water Solutionsとアフリカ、中東、そして世界の他の地域の人々の未来に対して、彼は楽観的であり続けます。

彼は述べます。Almar Water Solutionsは、Abdul Latif Jameel Energyを持続可能性を推進する主要セクターの第一人者たらしめました。またこの組織は、マサチューセッツ工科大学のアブドゥル・ラティフ・ジャミール世界水と食料の安全研究室(J-WAFS)に資金提供しています。そのため、水はすでに組織の念頭にあるものです。水は、特に中東における持続可能性と人口増加の両方にとって重要な要素なのです。」

[1] Kenya, Water.org, accessed July 2018

[2] Water in Crisis – Kenya, The Water Project, accessed July 2018

[3] Kenya: Tackling challenges caused by rapid urbanisation, WSUP, accessed July 2018.

[4] Kenay’s major towns facing water crisis as climate change bites, Xinhuanet, 19 February 2018

[5] Kenay’s major towns facing water crisis as climate change bites, Xinhuanet, 19 February 2018

[6] Kenya, Water.org, accessed July 2018

[7] Water in Crisis – Kenya, The Water Project, accessed July 2018

[8] Mombasa: Supporting the utility to provide services to low-income communities, WSUP, accessed July 2018.

[9] Mombasa: Supporting the utility to provide services to low-income communities, WSUP, accessed July 2018.

 

[1] Kenya, Water.org, accessed July 2018

[2] Water in Crisis – Kenya, The Water Project, accessed July 2018

[3] Kenya: Tackling challenges caused by rapid urbanisation, WSUP, accessed July 2018.

[4] Kenay’s major towns facing water crisis as climate change bites, Xinhuanet, 19 February 2018

[5] Kenay’s major towns facing water crisis as climate change bites, Xinhuanet, 19 February 2018

[6] Kenya, Water.org, accessed July 2018

[7] Water in Crisis – Kenya, The Water Project, accessed July 2018

[8] Mombasa: Supporting the utility to provide services to low-income communities, WSUP, accessed July 2018.

[9] Mombasa: Supporting the utility to provide services to low-income communities, WSUP, accessed July 2018.